好きな映画・舞台などの感想を綴っております。
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2006.5.27

どこまでも拓かれた景色、赤い土、乾いた空気、砂埃。
何もなく、ただ続く砂漠の下で偶然に出会った。
一人は日本から来たバックパッカー、一人はアメリカへ妻を捜しに来たパキスタン人、そして一人はトレーラーホームと呑んだくれの祖父に縛られたアメリカ人女性。
フェニックスへ続く道の中で彼らは互いを見つめあい、様々な先入観や偏見を目の当たりにしながら自分達のあり方を考えていく。
いつしか終わりは来る。
目的地に着けばさよならを言わねばならない、ただそれだけの関係。
でもいつしか彼らはお互いを認めつつ、ただそれだけではない何かを感じ始めるのだった。
彼らが道を分かち合っても、ただアリゾナの自然は続く。
そこにあるのだから。
何もない圧倒的な自然の中で人々は生まれ、死に、そして出会い、別れていく。


見る人が見ればなんて事はないロードムービー。
だけどその道の中でそれだけではない、色々なものが描かれていると思います。
それは人が捨て去ることの出来ない、偏見だったり、先入観だったり。
でもその中で生まれていく、人と人との関連性。
どんな立場でも、人間は向き合うことが出来るということを描いてくれている映画だと思います。
淡々とした3人の時の流れの中で、3人を取り巻く状況や、時勢、文化の違いや人種の問題が描かれていて大変興味深かったな、と。
船橋監督の現在の拠点でもあるアメリカを舞台に描かれているんですけど、映画を見ながら、これは別にアメリカに限った話だけではないなと思いました。
私自身はアメリカに高校生の頃、観光に行っただけなので(しかも向こうに叔母が住んでいるので相当守られていましたし)、そこまで感じなかったのですが。
向こうに留学していた叔母はやはりそういう差別的な偏見を受けたと話してくれたことがありました。
州や地方によっても違うそうなのですが。
でも私自身が感じたのは先日行ったロンドンででした。
英語を話して、通じてもいるのに、主に彼らが親しく話すのは白人の人々だけ。
私や友人を含めたアジア人や他の国から来られた方には見向きもしない。
あれを見た時にああ、こういうことなのかと実感しました。
それでもイギリス人が皆、悪いわけではないですし、優しくしてくれた人もいました。
でもああいう風潮を見ると悲しくなりますね。
パキスタン人であるアリの扱われ方を見て、それを思い出しました。
でもそれは裏を返せば私たちにもあることなんだとも思いました。
中東の方を見るとびくつくし(私だけ?)、テロと直結させてしまいやすかったり。
それ以外にもアジアの中の日本を見てるとそれをつくづく感じます。
日本の中でも中国や韓国に良い思いを抱かず、戦争時代の見下す思いを持っている人もいれば、中国や韓国の国が好きで友達もたくさんいて、良い部分を紹介してくれる人もいる。
日本の映画を韓国へ伝えたり、韓国の映画が日本にも入ってきて、交流の場がある。
だけどそういう人の言葉は国同士の問題では伝わらずに、外交面では距離を広げるばかり。
国益のためかなんだか分からないけど…国同士に軋轢があるのは事実ですよね。
BIG RIVERで描かれていた問題は決して遠いアメリカだけの問題ではなく、すぐそこにあることなんですよね。
日本もアメリカも経験し、いいところも悪いところも知っているからこそ描かれた作品なんだろうなと感じました。
この作品に出会えて、今一度考え直すべき点は多々あります。
この映画は世代、文化、人の経験値によってもまた違った見方が出来る作品だと感じました。
そして圧倒的なアリゾナの自然。
何もない、という世界観を描くには日本では難しいでしょうね。
日本だと走ってるうちにどこかに出ちゃうから(笑)。
…ってせっかくかっこよくしめようとしたのに、やっぱり^^;
でもあれだけ何もない中でも、人間は向かい合える。
何もないからこそ向かい合えたのかな?
分からないですけど、青臭くもがきながらも、人間のあり方をもう一度見直せる映画だと思います。
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